補助金の不正支給問題から読み解く今後のこと

11月5日付の朝日新聞に「国のコロナ補助金過大交付問題」の記事が載っていました。朝日だけではなく他新聞社も取り上げましたし、Yahoo!ニュースにもなりました。

その詳細を解説すると、

嘘をついて補助金をだまし取ろうとする悪徳企業を、国は見抜けませんでした。

ということになりますが、見抜けなかったのは、正確には「国」ではありません。派遣会社として有名な「パソナ」です。

もっと詳細に紐解くと、「パソナが国から委託されて運営していた審査機関がザルだった」ということです。まともな審査もせずに、補助金をバンバン支給しまくったということ。

ザル審査で楽勝ゲットできた補助金の名は、「事業再構築補助金」。

「コロナで経営しんどいから、新しい事業にチャレンジするよ!」そんな前向きな企業に対して、国が無償で差し出すお金です。元はと言えば私たちが収めた税金です。

健全に使用すれば返す必要はないのですけど、不正が発覚すると全額返還を命令されることもあります。

朝日で報道されていた事例では、「コロナで商売あがったりだからキャンプ場をはじめます」という事業者に、キャンプ場の整備費として補助金が支給されました。しかし、実はキャンプ場の整備は自分の会社でやって、架空の請求書で嘘の収支報告をしたらしいです。

脱税も疑われそうですけど、バレないと思ったんですかね…

とはいえ、責任は事業者だけではありません。実は、補助金申請を手引きした業者がいたようです。

楽勝で補助金を受給できることを知った悪徳業者は、お金が無くて切羽詰まっていて倫理観の弱まった零細企業をあの手この手でたぶらかせて、嘘でも何でもアリの楽勝補助金の申請を代行して、支給された補助金(税金)から手数料と成功報酬を取って稼いだわけです。

パソナ、補助金申請の悪徳代行業者、不正受給した企業、そして丸投げした国。

罪深い大人たちの饗宴です。税金の無駄遣いとはまさにこのこと。

もちろん補助金で生き延びた、真面目にがんばっている企業もあることは否定しません。否定しませんが、そもそも経営が傾いた状態で補助金をもらっても焼け石に水です。キャッシュフローの改善をすべきときに、事業を拡大・増加することは危険です。詳細は著書「企業の罠」にも書きました。

結局のところ人は、自分で稼いでいないお金の管理は甘くなるということです。

国は国民から巻き上げた税金を投入し、パソナは国から調達した金をバラまき、悪徳企業たちは返さなくて良いお金を欲しがる。

参考書を買うから、と言って親からもらったお金で漫画を買う。そんなレベルの金銭感覚。

実は、事業再構築補助金の審査の甘さは、業界では有名な話でした。

特に初期に申請して甘い汁を吸った企業(今は冷や汗が出ているかもしれませんが)から聞こえてくる噂は、資金繰りに困窮している中小零細や、売上しか見えていない申請代行業者の目の色を変えていました。

申請マニュアルを読み込めば読み込むほど、なんてハードルの高い補助金だろうと思うのですが、楽勝の噂が独り歩きしていて実際そうだったこともあるので、申請できないと言う私に対して、真面目な奴がバカを見るとでも言いたげな、杓子定規で先生ぶった使えないやつだと蔑むような、そんな視線を感じたこともあります。

ルールや法律が絶対正義だとは思いませんが、出し抜いて自分だけ得をするような行動が、許されたり称賛されたりする時代は終わりつつある。

ある意味厳しさが増した世界だとは思います。でも、落ち着いて今ある幸せを大切に育てるという、ごく真っ当な生き方の価値が高まってきた時代だとも言えます。

裏を返せば、うまい話はころがって来ないということになります。この心得だけしっかり持っていれば、この世で何をすべきなのかが良く見えてきそうな気もします。

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